好きかも、じゃなくて、好きって言い切ってほしかった。
新宿でそう言い放った私。あの時は寂しさと怒りが混ざって、何が何だか、わからなくなっていた。
彼と出会ったのは、高円寺にあるバー。彼はいつも、甘いカクテルを飲んでいて、その子供っぽい屈託のない笑いに惹かれた。金曜日に決まって行く場所に、いつの間にかなっていた。街の音が何もしない路地を抜けて、そこにいくのが、唯一の私の幸せだった。
彼とその場所以外で会うようになったのは、今年の九月くらい。私が、何気なく「ファーストキス」が観たいと言ったら、じゃあ今度行こうよ、と言われて、私は小さく返事をした。
そこから二人で会うことが増えた。高円寺のバーには行かないで、彼の家で過ごすことも増えた。それでも彼は、私のことをどう思っているかは、決して口にしなかった。